2009年 10月 01日
先月、京都を訪れたときのこと。 早めにチェックインしたホテルの向かえにあった、いかにも鰻が隠れてそうな、それでいて妙に中国らしい京町屋を覗いてみた。 中国料理 和漢同菜 菜根譚 -sai kon tan- 日本らしい繊細な装いの中華料理屋だと、まずファーストインプレッションでがっかりさせられることが多い。 なんでかって、あの乱暴なほどの「量」を見せ付けてくれることがないからだ。 育ち盛りをとっくに過ぎた僕にとっても、まだまだ中華の醍醐味はダイナミックさだ。 ここも、恐らくその類であって、大きな器のまんなかに生け花のような作品を盛り付ける中華屋だろうと、想像していた。 とりあえず、ランチタイムであったので、お勧めの特製弁当にすんなり決めた。 注文後、珍しそうに、部屋のあちこちにレンズを向けてシャッターを切っていると、それだけで汗が噴出してくる残暑厳しい京都の9月。 程なく、そんな僕を訝しみながら、ウエイターのお兄ちゃんが入ってきた。 箱がでかい。 定説と違うじゃないか。ジャパニーズサイズじゃない。 まあ、落ち着けばいい。これも、日本人ならではの演出の序章じゃないか。 繊細な飾りつけのクオリティーはジャパニーズには欠かせない。 蓋を開ければ、この弁当箱の中にもご丁寧に器やら葉っぱやらが入っていて、そのまんなかのおにぎり山を啄ばんでくださいってわけだろう。 でも、それでいいんだよ、それがいいんだよ、今日は。 腹ペコで、がっつきに来てるわけじゃないんだ、時間もそんなにないし。 作品を見せてくれればいいんだ―― 「・・・これ、一応一人分ですよね、、、?」 「結構、ボリュームありますね。」 そんな風に、言うのがやっとだった。 合格だ。 一次試験合格だよ。よし、お前は中華だ。 ま、そんな日本の中華料理に対する僕の偏見は、そろそろ置いておこう。 食についてどうのこうのと言えるほど、美食家でもなければ、そんな憧れも今までそれほどない。 しかしながら、これも世のため人のためになるはずの社会勉強だと言い聞かせて、後ろ髪を引く吉野家の暖簾を振り払って、入って見たわけだ。 ご覧の通り、立派なボリュームがあるにも関わらず、旬の京野菜や中国野菜がふんだんに使われていて、ウェイターのお兄ちゃんの一品一品の説明は見事に右の耳から左の耳へと抜けていくほどで、 まず、間違いは無いことだけは確信した。 やっぱり、僕も日本人の端くれだろうか。加茂茄子や写真の右奥のよくわからない野菜は、ちゃんと野菜の味がしていて、それでいて甘かったりして、おいしいなあ、と思った。 それから、見た目が良いのもやはりジャパニーズとしては有難い。 料理の内容に対して、あまりに時間がなかったので、なんだがお店の人と料理に申し訳なかった。 今度は、ゆっくり来ますよ。 しかし、この微妙な中国っぽい雰囲気はなんだろうと、最後にもう一度天窓を見上げた。 ご馳走様でした。
by torumuramatsu
| 2009-10-01 22:47
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